歴史認識の問題 その13」 は「戦争犯罪宣伝計画」(War Guiit Information Program[WGIP])についてです。
War Guiit Information Program というのは、江藤淳の「閉ざされた言語空間」の中で明らかにされたGHQ占領下で行われた洗脳計画のことです。
根拠である文書を江藤淳は明らかにしませんでした。存在が疑われる事態になっていたのですが、ようやく「日本人を狂わせた洗脳工作(WGIP)いまなお続く占領軍の心理作戦」関野通夫著(自由社ブックレット 2015年)の中で証拠文書が公開されることとなりました。
GHQの2万5千点にも及ぶ膨大な文書群の中から不屈の精神で発掘し、出版されました。
洗脳計画は、見事に成功しました。
日本は「狂気の軍国主義にかられ、無謀な大作戦に突入し、米国やアジア諸国にひどい被害をもたらした―」というプロパガンダをほとんどの日本人が信じるにいたってしまいました。わたしも長い間このことを信じていました。全面的に日本が悪であるという歴史学の主張に違和感を感じながらも、戦争犯罪宣伝計画のとおりに高校でも教えてきました。
ペリーの来日より大東亜戦争敗北までの歩みを冷静に俯瞰すると東亜百年戦争(1853年から1952年)という実態が浮かび上がってきます。白人達の世界支配に対して果敢にも立ち上がり、明治維新という政治変革を成功させ、日清・日露戦争には勝利しましたが、結局は大東亜戦争(1941年〜1945年)で敗北してしまいました。結果としては東亜百年戦争で敗北しましたが、たった一国で欧米のアジア諸国に対する植民地支配を打破し、アジア・アフリカ諸国の独立をもたらしました。
WGIPによるマインドコントロールを解くために東亜百年戦争についてわかりやすく書かれてある「日本人の誇り」藤原正彦著(文春文庫 2011年)を是非よんていただきたいと思います。
このような日本を欧米諸国の為政者の立場に立つとき許せるでしょうか? 日本のために植民地を取り上げられてしまった西欧諸国です。
「明白な天命」を信じて西漸運動をつづけ、独立国ハワイを併合し、フィリピンを占領したアメリカ合衆国は、満洲や中国への進出を国是としていました。そのに立ちふさがったのが日本です。再び日本が立ち上がれないように、日本を弱体化するためにあらゆる手段を尽くしました。再びアメリカ合衆国に逆らう事のないように全力をつくしました。
東京、大阪などを空襲し日本の民間人を焼夷弾まで開発して虐殺しました。原子爆弾を広島と長崎に落としました。原爆死没者名簿によると現在までに 広島で約24万人、長崎で約14万人が虐殺されました。約38万人になります。
このような虐殺が起こったのは日本が悪かったからであるということを日本人に植え付けなければなりませんでした。そうしないと、アメリカとしてはいつ復讐されるかわからないと思っていたからです。すべてを恕すという意味の「水に流す」という言葉は、欧米にも、中国朝鮮にもありません。原爆投下を正当化するために、南京虐殺30万をでっちあげました。
GHQはマスコミ(当時はラジオ・新聞)を駆使して、日本の戦争犯罪をでっち上げ宣伝し続けました。日本人の良心につけ込んで、犯罪を犯してしまった軍人に自己の犯罪を告白させました。その事実を日本軍全体の意志であり、行動規範であったというように思わせました。大方の軍人は犯罪者と決めつけられて口をつぐみました。中国共産党軍の残虐行為、アメリカ軍の残虐行為は、不問にして、日本軍だけが悪であると思わせることに成功しました。軍隊が絶対悪であると信じているのは日本人だけです。死の穢れという古来の思想も加味されてのことですが、徹底的に軍隊を否定するのは、大東亜戦争が自衛戦争であったことを全否定し、誤った軍国主義によってアジア諸国を侵略したと信じさせられた日本だけです。
マインドコントロールの結果、中国が独立国チベットを侵略し植民地化し、尖閣諸島を自領としようとしていることや、ベトナムやフィリピンの島々を侵略し占領している事実には目をつぶり、安全保障法制を整備しようとすれば、戦争する国になろうとしているとマスコミも学者も全否定するという珍奇な状況になっています。マスコミ・学者の常識は世界の非常識です。
東条英機は、東京裁判の宣誓供述書で「国家自衛にために起こったということがたったひとつ残された途でありました。われわれは国家の命運を賭しました。而して敗れました。」「私は最後までこの戦争は自衛戦であり、現地承認されれたる国際法には違反せぬ戦争なりと称します。」と堂々と主張しました。この主張が報道されることはありませんでした。そしてこの主張こそが大東亜戦争の真実でした。このような認識を日本人がもつとこまるというのがGHQ によるWGIPです。
そして日本を占領した1945年9月からサンフランシスコ平和条約が発効する1952年4月28日までの6年半の間にWGIPが定着するようにあらゆる仕組みをつくりました。
最大の仕組みは、マスコミや大学の支配です。戦争犯罪者にするという脅し文句のもとにマスコミをWGIP一辺倒の報道にさせます。さらに、これらマスコミの加担者たちは、いったん定めた反日の方向性を逆転できないような人事配置をつづけることになります。戦前の実態を知らないがゆえに、一層反日の報道を繰り返すようになって現在に至っています。たとえば大東亜戦争を取り上げるにしても、1941年12月8日の真珠湾攻撃から取り上げます。それ以前のアメリカの日本に対する制裁は取り上げません。
日本がアメリカから受けた制裁について東京裁判で「モナコ王国やルクセンブルク大公国のような小国でも、アメリカに対して矛をとってたちあがったであろう」とパル裁判官が発言しても日本のマスコミも歴史学者もとりあげません。
健全な日本の中核をなしていた20万人も公職から追放した上で、大学においても、日本を弱体化させるために、日本が東亜百年戦争を戦ってきた真実を覆い隠すために、日本がきらいで、日本を解体して新しいユートピア的な社会にするという理想をもっている共産主義者や共産主義者的キリスト教徒を東大や京大などの総長・学長にしました。トップの人事が研究者の動向を支配します。共産主義思想といっても、フランクフルト学派のそれで、いわば隠れ共産主義者として存在します。明確に共産主義者であるというカミングアウトはしていないだけに潜在的に拡がっていく傾向にあります。日本の伝統文化や良きところを封建的遺制として切り捨てます。家族制度や天皇が担ってきた役割についても否定的です。日本が解体して不安定な状態にならないと共産主義政権ができないからです。
特にこの共産主義思想は、政治的プロパガンダですが、歴史学の形をとっていますので、日本史を研究する学者は、おおむね唯物史観にもとづく天皇廃止論者であり、GHQのWGIPの史観にもとづく研究をおこなっています。このような人たちに教育された、歴史の先生は、ほとんど知らないうちにWGIPの史観をそのまま学校で教えることになります。当然のことながらこのようにほとんどすべての国史を扱う歴史者が反日ですので、教科書もほとんどWGIP史観すなわち自虐史観に立って著述されています。フランクフルト学派について詳しくは、かなり専門的ですが「戦後日本を狂わせたOSS『日本計画』二段階革命理論と憲法」田中英道著(展転社 平成23年)をお読み下さい。
最後の仕上げが、日本国憲法です。その日本国憲法を変えさせないためにGHQは、日本共産党と日教組を支援しました。憲法に保障された国民主権を認め、政権交代を民主主義の仕組みとして是認する自民党は1955年結党当時から憲法改正を党是としています。民主主義といいながら独裁政権をめざす社会党(社民党)や共産党が護憲の政党となっています。
考えてみればおかしな事です。現在存在する共産党政権は、中国、キューバ、北朝鮮などですが、共産党の一党独裁政権です。旧ソ連も同様でした。政権交代は想定していません。日本の共産党の目指すところも同様ではないでしょうか。 民主主義を否定し、民主集中制というコトバをかえた共産党独裁を目指す政党がなぜ最大の護憲政党であるのか。答えは簡単です。極論すれば、日本国憲法は、日本を解体するために造られた WGIPによる憲法であるからです。ここのところの経緯は、新版「日本人に謝りたい」モデルカイ・モーゼ著久保田政男訳(日新報道 1999年)に詳しいのでお読み下さい。
WGIP史観に対する反論として『歴史認識の問題』 その1からその13があります。『歴史認識の問題』の総論として最後に「戦争犯罪宣伝計画(WGIP)」について書きました。各論はそれぞれのページを訪問ください。『歴史認識の問題』は、中国、韓国、アメリカからの外圧が問題ではありません。マインドコントロールによりWGIP史観を信じ込んでいるか、あるいは確信犯的にユートピア的共産主義社会(最近ではワールドニューオーダーともワンワールドともいいます)を理想と信じ込んで日本の伝統文化を破壊しようとしているマスコミ、学者の問題です。この国内問題が解決すれば、中国・韓国そしてアメリカも『歴史認識の問題』を振りかざすことができなくなるでしょう。ウソで固めた主張が通じなくなるからです。納得できない方は、紹介した著作や参考図書を徹底的に読破してください。私のようにマインドコントロールに気づき新しい視野にたてるものと確信します。
東亜百年戦争(1853年〜1952年)において、黄色人種の日本人が、白人のアジアアフリカ諸国の植民地支配をたった一国で打ち砕きました。これは歴史家のトインビーも認めているところです。
白人諸国にとって日本人は基本的には不倶戴天の敵であることは間違いないでしょう。逆の立場を想像すれば予想できる反応です。しかも、水に流すという天国人の発想は日本にしかありません。
大東亜戦争では、白人の支配するアメリカは中国を味方にできると信じて、蒋介石をつかって日中戦争を起こさせ日本の抹殺を図りました。日露戦争で一敗地にまみれたロシアのスターリンは毛沢東を援助し中国での敗北を画策するとともに、ゾルゲをスパイとして送り込み近衛文麿首相を含む国内の隠れ共産主義者を支援することにより、共産主義国家にする目前まで画策しました。
さらには、白人支配に協力する行動をとった幣原喜重郎や山本五十六が暗躍して日本の弱体化と敗北を図り、日本は敗北しました。しかし、結局大東亜戦争の日本の活躍により東アジア諸国のみならず、アジアアフリカ諸国は独立を達成しました。
白人たちの恨みはさらにつのったことでしょう。しかし、復讐と怨念の世界史に終止符を打たなければ、人類滅亡まで進んでしまうほどの破壊兵器を手にしてしまいました。武士道の精神による高い道徳基準をもつ日本としては、世界のリーダーとしてポール・リシャ―ルの詩のように、「責めず裁かず恕する想念」を涵養して世界恒久平和に貢献する使命があるのではないかと思いますのでとやかく言うことではありません。
問題は国内の自虐史観です。「戦争犯罪宣伝計画」の利得者である大学教授や朝日新聞やNHKを含むマスコミなどの姿勢です。
東ティモール独立をめぐる騒動を見れば、日本の大学教授の著作や朝日新聞の報道の出鱈目さがわかります。また、彼らの大東亜戦争や朝鮮併合後の日本の残虐行為についての捏造について参考になるのではないかと思います。
歴史の捏造(自虐史観)は、天皇を廃止して日本の独自性の抹殺を図る国際共産主義運動(いわゆるグローバリズム)に協力すること、または、そのことに気づかずに出来もしない理想国家の幻影に惑わされて今なお共産主義国家をめざしている隠れ共産主義者の確信的作為が本質であるように思います。沖縄の日本軍の戦争犯罪の捏造することや沖縄独立を画策することもたった一国で白人の植民地支配を覆し、国際共産主義運動(いわゆるグローバリズム)の抵抗勢力となっている日本を解体するためではないかと思います。そのような視点で歴史を見なくてはいけないと思います。
このような情況であれば、日本のおかげで東南アジア諸国は独立したということを、現在の東南アジアの指導者たちは言えないのではないかと思います。東ティモールの独立の経緯を観察すれば、インドネシアの弾圧をでっち上げ、石油やその他の資源を自分のためにするために独立させたことが分ります。白人国家は何でもできる力を今なお保持していることが分かります。
参考図書
○「白い人が仕掛けた黒い罠―アジアを解放した日本兵は偉かった」山正之著(ワック 2011年)
「きっかけは七五年、四世紀にもわたってこの島(※東チモールのこと)を植民地にしてきたポルトガルが財政上の理由からその領有を破棄した。かつては香料諸島(モルッカ)のクローブや胡椒を独占する貿易港として利用したものの、島民には教育も与えず、奴隷として搾取し、道路などインフラも一切整備しなかった。
それが維持できないから放り出す。その身勝手に呆れるが、決して例がなわけじゃない。フランスはかつてイスパニョラ島のインディオがスペインによって皆殺しにされた後、西側を取って黒人奴隷を入れてコーヒーや砂糖のプランテーションを置いた。しかし英国がジャマイカで同じような商売を始め、プランテーション作物の価値が暴落すると、もう奴隷を維持し経営する意味がないと見極めてナポレオンがそこを捨ててしまった。それがカリブ海のハイチだ。黒人奴隷は自分たちで国を作るが、いまだに安定した国づくりはできていない。
東ティモールもアジアのハイチとなるところだったが、折も折、共産軍の攻撃で南ベトナムのサイゴンが陥落する。ここも赤くなったら困る。
放ってはおけない。それに周辺の島嶼もティモールの半分は反共のインドネシアに属する。結局、米国の斡旋でインドネシアがごく自然な形でここを統治することになった。
「哀れな東ティモール」を捏造
インドネシア政府は爾後、年間三千万ドルを投資してポルトガル時代にはなかった学校、病院、道路などインフラを整備していった。共通語にインドネシア語が導入され、四世紀ぶりに文化に接した島民の九割は喜んだ。
残る一割はかつて支配階級にあったハーフカスたちだ。彼等は白人の血が入っていたことで白人政権の下、偉そうにしていたが、インドネシア政府に統合された今、彼等はただの東ティモール人になり下がった。
半白人どもの不満がずっとくすぶっていた。そこに国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の海底資源調査結果が飛び込んでくる。例の尖閣諸島の海底深くにイラクに相当する海底油田があるとしたのと同じ、東ティモールの大陸棚、つまりもっと浅いところに天然ガスと油田層があるという発表だった。
尖閣ではすぐに支那が反応し、ケ小平が「尖閣の所有権は次の世代で話しましょう」凄腕の詐欺師ぶりを発揮した。
東ティモールでは旧宗主国ポルトガルが動いた。いわく「東ティモールの島民はインドネシアの残忍な圧政に泣いている」と当時のEC会議で発言した。オーストラリアがこれに乗って「可哀そうな東ティモール」が白人国家の仕切る国際社会の世論になっていった。インドネシア軍による大虐殺の噂も囁かれた。
そして驚いたことにノルウェーのノーベル平和委員会は聞いたこともない東ティモールの混血児の一人、ラモス・ホルタに「圧政をはねのけて独立を叫ぶ平和の戦士」として平和賞を受賞させた。
ありもしない「インドネシアの圧政」はこれで事実に仕立てられてしまった。国連も乗り出し、東ティモールの独立かインドネシア服従かを問う国民投票も実施に移された。
ウソつき教授と朝日新聞
本当の構図は東ティモールにあって不平をかこつ白人混血児を擁立し、独立させ、海底油田を豪州、ポルトガルなど白人国家で分け合うというものだった。ポルトガルにすればこれで混血児を捨てた償いができる。オーストラリアはただで石油を手に入れられる。まさかノルウェーまで一枚噛んでいたとはお釈迦様でも気がつかないだろう。かくて南洋の尖閣は白人たちのものになった。
この国際ペテン話を補強するような話が日本でも飛び出した。早大教授後藤乾一が朝日新聞に載せた「東ティモール 過酷な戦時支配の歴史」がそれだ。後藤はこう書いている。「開戦とともに日本は中立国ポルトガルの抗議を黙殺し東ティモールを占領し、敗戦までの三年半支配した」「日本軍は約一万人」「通敵者への極刑、あるいは飢餓などで島民四万人の死者が出たとポルトガル側資料は伝えている」
前述した資料(※東ティモールに駐留した昭和女子大名誉教授山下真一の話と所蔵のデータ)と比べれば出鱈目がよく分かる。日本軍は六百人しかいない。彼は軍の行動書さえ見ていない。
「ポルトガル側資料」も嘘だ。ポルトガル政府は前述したように原住民の戸籍も作らず学校もなかった。まして人口動態調査もやていない。
ではこの嘘つき教授はこれをどこから手に入れたか。オーストラリアの駐ディリ公使ジェームズ・ダンが「日本軍がいる間に四万人ぐらい人口が減った」とこれも何の根拠もない数字を出した。日本に因縁をつけるための嘘だが、後藤はこれに悪乗りして前述のフィクションを拵えた。
そして前述したように朝日新聞が食いつく。この新聞は日本軍を誹謗できるなら真偽を問わない。只今主筆を務める船橋洋一も真偽は二の次で彼のコラム「日本の世界」(九九年九月二十三日)で「インドネシア学の泰斗後藤乾一」を引用し、「日本軍のせいで東ティモールで4万とも5万ともいわれる住人が斃れたのに東ティモール住民に戦後賠償、補償はされていない」と書く。
朝日が囃せば自虐文化人が次々と手を挙げる。偏向地方紙の北海道新聞(〇二年二月二十日)には進歩派を自称する高橋奈緒子のこんな記事が載った。「日本軍はポルトガル領東ティモールに侵攻し、三年半にわたり占領した」「その間、旧日本軍による虐殺や強制労働、食糧提供による犠牲者は四万人に上るといわれる」。
前半は後藤乾一の嘘をなぞっているが、後半は彼女の創作だろう。
山下伍長(※山下真一)は当時の島民の様子をこう語る。「彼等は普段は褌をまいただけの裸で、体中が疥癬や皮膚病で覆われていた。家の中には何もなかった。日本軍は略奪したとか言うがぼろの褌を盗って何になるのか。むしろこっちがお米を作り彼らに分けてやったりした。」
こんな愚かな新聞報道のために日本政府は国民の税金を使って自衛隊まで送りこんでハーフカスの仕掛けたペテンを助けてやった。
許しがたい早大教授の嘘は以前別の雑誌でも書いた。本人から一度、抗議を受けたので、それを雑誌で明らかにしたいというと「今は(オーストラリア外交官の話だけでなく)現地にいた日本人たちの話を聞いている」とか言っていた。学者ならまずフィールド調査だろう。当事者が日本にいるならいい加減な豪州人の話を聞く前にそっちを訪ねるのが筋だ。
その結果がどうだったのか。人間としてもキッチリ謝罪すべきではないか。
戦後自虐史観で語られる「日本軍の残忍な行動」の多くは無責任な学者と無節操な新聞人によってでっち上げられている。東ティモールのケースはその意味で白人の傲慢も併せてそうしたまやかしが実に明快に分かる稀有な実例といえる。」(p203?3〜p208最後)
○「日本人はいつ日本が好きになったのか」竹田恒泰著(PHP新書 2013年)
「◎教育改革の決定打は「教科書検閲の基準」―――――
戦争終結から長い年月を経ながらも、自虐に満ちた教科書がいまだに使われているが、その大半は「教育に関する四つの指令」が出された直後の昭和二十一年二月にGHQが発令した「教科書検閲の基準」にあると思われる。GHQは教育政策を特に重視し、躍起になって教科書を改変しようとした。その結果がこの基準だった。そして、同基準はGHQの教育改革の決定打となったといってもよいだろう。
私は、戦後教育形成の研究の大家であられる高橋史郎先生から「教科書検閲の基準」のことを教えられたとき、戦慄を覚えたことを記憶している。現在の教科書が歪んでいることの原点を見た気がしたからだった。
GHQは次の五点を検閲対象として挙げ、教科書から徹底的にこれらを排除した。
@天皇に関する用語(現御神(あきつみかみ)、現人神(あらひとがみ)、上御一人(かみごいちにん)、天津日嗣(あまつひつぎ)、大君(おおきみ)など)
A国家的拡張に関する用語(八紘一宇(はっこうちう)、皇国の道、肇国(ちょうこく)の精神、天業恢弘(てんぎょうかいこう)など)
B愛国心につながる用語(国体、国家、国民的、わが国など)
C日本国の起源や、楠木正成のような英雄および道義的人物としての皇族
D神道や祭祀、神社に関する言及、等々
(高橋史朗『検証 戦後教育』広池学園出版部)
現代日本人が愛国心を失っていることは第一章に述べたが、国を興隆させることや国を愛することは、子どもたちに教えてはいけないこととされ、教科書に国家的拡張と愛国心につながる用語を使うことすら、厳禁とされていたことがわかる。
「わが国」という言葉の使用が禁止された点に注目してほしい。現代日本のテレビをはじめとする各種メディアでは「わが国」の言葉は基本的には使われない。見聞きするのは「この国」ばかりである。私は「わが国」を使わない人が多いことに疑問を感じていたが、その疑問はこの検閲基準を見て解けた。まさかGHQがそこまで禁止していたとは、驚くばかりである。
「わが国」には帰属意識を感じるが、「この国」にはそれを感じない。何か第三者的な、客観的な印象を覚える。私が米国について言及するときに「この国」を使うように、外国人は日本のことを「この国」と表現するだろう。「自分は日本人である」という日本国への帰属意識や、日本人としての民族意識を薄めようとするGHQの意図が窺える。日本人はこのようにして長年にわたり、精神的に骨抜きにされてきたのだ。
そして次にあげる点は、日本民族を滅亡に導く最も恐ろしいことと言わねばならない。それは検閲基準のCである。「日本国の神話の起源」と「道義的人物としての皇族」は教科書から徹底的に排除する対象とされた。これにより、日本の教科書から『古事記』『日本書紀』などの神話が駆逐され、また同時に、国民から尊敬される天皇と皇族の歴史も忘却の穴に捨てられてしまったのである。そして、この傾向は現在も続く。
先述したとおり、民族の同一性の条件は「歴史」と「神話」を共有することであり、日本の教育現場で歴史が封印され、神話が排除されることは、すなわち日本民族が民族としての同一性を失うことを意味している。日本人を日本的に骨抜きにするため、GHQが進めるWGIPは実に的確に、急所を突いてきたというべきだろう。」(81頁後3行〜84頁7行)
「◎歴史と神話を封印すれば民族は滅びる―――――
二十世紀を代表する歴史学者のアーノルド・トインビーは「十二、三歳までに、民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅びている」※と言い残している。神話を学ばない民族は滅びるのだ。大戦終結後に日本神話を子どもたちに教えなくなってしまったのであるから、トインビーの言葉によれば、日本民族は滅亡に向かって衰退傾向にあることになる。その結果が愛国心のない国民に帰結することになる。日本に神話教育を禁止した連合国は、米国も英国も、自国では神話教育と宗教教育に力を入れていることを付言しておきたい。
さて、「道義的人物としての皇族」にもいま一度注目してほしい。これが禁止されるということは、天皇や皇族について教えることができても、その道義的側面はいっさい教科書で触れることができないことを意味する。
これがどれだけ恐ろしいことか、逆の立場から考えればわかるであろう。もし日本が先の大戦に勝利し、米国を占領統治したとしよう。そこで「教科書検閲の基準」を策定して、「リンカーンのような英雄および道義的人物としての大統領」をいっさい教科書に書いてはいけないとして、米国人たちが六十年以上もそのような偏向教科書を使って勉強し続けたら、米国はいったいどのような国になったであろうか。当然、米国人としての誇りを感じ、アメリカ合衆国という国が存在することに感謝の気持ちを抱く者はいなくなるに違いない。そうなったら、それは米国存亡の危機である。米国人を精神的に骨抜きにするために、これほど有効な手段がほかにあるだろうか。
この検閲基準が発令された結果、日本の教科書には、先述の仁徳天皇・亀山上皇・明治天皇などに代表される天皇と皇族の道義的な記述がまったく記載できない状態になり、いまだにそれが続いている。
ゆえに、普及している中学の歴史教科書を読めば、天皇と皇族が登場するたびに、異端児や暴れ者として描かれ、天下動乱に向かう筋書きばかりが目につく。たとえば、大化の改新は皇太子たる中大兄皇子が蘇我入鹿を殺害する話だった。皇族同士が殺し合った壬申の乱、上皇と天皇が争った保元の乱、後鳥羽上皇が倒幕の挙兵をした承久の乱、後醍醐天皇が倒幕の挙兵をして島流しになるも倒幕に成功させて新政を始めたが、武士の不満が高まって引きずり下ろされ、それが原因となって朝廷が南北朝の二つに分裂することになった云々。このような天皇の血なまぐさい話ばかりが強調された教科書を勉強した生徒は、天皇は好戦的で危険な存在だと思うだろう。それは、まさにGHQが意図したことである。
しかし、わが国はサンフランシスコ講和条約により、六年八カ月の占領に終止符を打ち、主権国家として国際社会に復帰した。もちろん戦前の教育は神話を歴史的事実として教えていたなど、不適切な点があったことは否めない(歴史的事実ではなく歴史的真実として教えるべきだった)。だが講和条約発効の時点で、占領下の教育の在り方を見直さなくてはならなかった。ところが、一度できあがった空気を変えることは難しい。占領軍の施した教育政策に反対意見を述べれば、たちまち「軍国主義」の汚名を着せられる社会になっていた。
もし国民に尊敬されるような天皇の逸話を教科書に書こうものなら「皇室賛美」「侵略を肯定するのか」などと批判され、また南京大虐殺や軍が主導した従軍慰安婦に少しでも疑問を差し挟んだなら、同じように罵声を浴びせられる。占領軍の教育政策がより強く固まり、そのまま戦後教育として広く根を張ってしまった結果、そこから抜け出すことができず、いまに至るのである。」(84頁後7行〜87頁3行)
※竹田恒泰によるトインビーの言葉の引用ですが、出典は確認されておりません。
○「日本人を狂わせた洗脳工作(WGIP)いまなお続く占領軍の心理作戦」関野通夫著(自由社ブックレット 2015年)
○「日本人の誇り」藤原正彦著(文春新書 平成23年)
○「日本人には知られては困る歴史 日露戦争と世界史に登場した日本」若狭和朋著(ワック 2012年)
○「日本人には知られては困る歴史 昭和の大戦と東京裁判の時代」若狭和朋著(ワック 2013年)
○「世界が語る大東亜戦争と東京裁判」吉村貞昭著(ハート出版 平成24年)
○「大東亜戦争肯定論」林房雄著(夏目書房 2001年)
○「戦後日本を狂わせたOSS『日本計画』二段階革命理論と憲法」田中英道著(展転社 平成23年)
○「新版 日本人に謝りたい」モルデカイ・モーゼ著久保田政男訳(日新報道 1999年)
平成27年09月27日作成 平成28年03月06日最終更新 第105話