詳しくは「常識から疑え! 山川日本史 近現代史編 [上][下]」倉山満著(ヒカルランド 2013年・2014年) です。
「常識から疑え! 山川日本史 近現代史編[上][下]」は、本のカバーにさまざまな主張がちりばめられていて戸惑います。それを除けは、シェアの6割をしめる山川の「詳説日本史」がいかにおかしな教科書であるかがよく理解できるように書かれています。本の内容を@からCにまとめてみました。
@歴史教育の本来の目的とは何かをわかりやすく書いてあります。
「歴史というのは民族の結束のために必要な政治の道具であり、支配の道具であり、そして外交の武器である、ということです。そして、世界標準の歴史教科書はみなこの目的に資するように作られています。」([上] 166頁)
「歴史の教養なくして、世界のなかの自国がどんな立場に置かれているかを知ることはできません。ということは、世界のなかでどうやって自国がサバイバルしていくかを考えることもできません。歴史教育が機能していないということは、世界の中でどうやって自国がサバイバルしていくかを考えることもできません。歴史教育が機能していないということは、そういうことです。」([下]9頁)
この目的のために、世界共通の原則は、
「一、疑わしきは自国の有利に。
事実に争いがある場合は徹底的に自国に有利に歴史を解釈する。
二、本当にやった悪いことはなおさら自己正当化せよ。
自国の悪行の事実が完全に立証されても謝ったりせず、なおさらその行為を正当化すべし。」([上] 表紙)
この原則に照らすと、中国・韓国・北朝鮮・アメリカ・ロシアの主張が、それぞれの国益に即した世界標準の主張であり、日本の自虐史観が、日本を解体させるための異常な主張であることがわかります。この件については、自虐史観が、戦後の日本を解体させる主張であるということを詳しく説いた本
「戦後日本を狂わせた『日本計画』二段階革命理論と憲法」田中英道著(展転社 平成23年)
も是非読んでください。少し専門的ですが、戦後の日本を狂わせている隠れた主犯であるフランクフルト学派の破壊的影響について書かれています。ものの見方が変わります。
A日本特有の自虐史観は、世界標準の絶対悪であるナチスと日本が同じであるという主張であることが理解できます。
「・歴史教育は、自国正当化の手段である
・歴史問題は、他国を攻撃するための武器である
・自国を悪と認めるのは、ナチスと同じくくりに飛び込むこと」([上]40頁)
Bどうして山川出版の『詳説 日本史』は、わかりにくいのかがわかります。
意味不明の文章の羅列であったのです。
「一、教科書の編纂者は、とにかく文句をつけられるのがイヤ。
二、二十年前の通説を書く。
三、イデオロギーなどどうでもいい。
四、書いている本人も何を言っているのか、わかっていない。
五、下手すれば書いていることを信じていない。
六、でもプライドの高い権威主義的記述をする。
七、そして何をいっているのかさっぱりわからない。」([下]7頁)
私は、歴史が大好きでシリーズで20数巻ある「日本の歴史」「世界の歴史」などを高校時代からむさぼるように読みました。「詳説 日本史B」は、丸暗記しましたし、どのような大学入試にも絶対の自信をもってのぞみましたが、「詳説 日本史B」の記述は、おもしろくもありませんでしたし、意味不明でした。その理由が、この本を読んでよくわかりました。自分は頭がわるいと思っていましたが、誰が読んでもおもしろくないし、一貫した主義主張のない意味不明の羅列のためにならない教科書だったことがよくわかりました。他の日本史教科書も山川の亜流ですので同様です。
C[上][下]あわせて、ペリー来航(1853年)からサンフランシスコ講和条約(1952年)までの近現代史を「なぜそのようになったのか」をわかりやすく書いてあります。
まさに目から鱗の内容もたくさんありました。
言葉の使い方が、乱暴で過激な点を除けば、わかりやすく、なぜそうなったかが理解できる内容になっています。
[上]の裏表紙です。
「本書で語られる『真実の歴史』の数々
○日本現代史では国民国家の意義を強調することはタブー
○日本史学会には、基本的に国民国家を解体したい人だけが結集
○版籍奉還から廃藩置県へ、という一連の大きな変化がうまくいったのは。経済的・軍事的な条件もあるが、その上で文化的な条件、天皇の権威というものが作用したから
○いまだに山川日本史では自由民権派はクズだった、自由民権運動がゴミだった、とははっきり書くことはできない
○現在の日本国憲法が正しい、という価値観の色眼鏡で大日本帝国憲法を評価
○イギリス憲法や大日本帝国憲法の考え方では、大事なことは条文に書かない
・・・
○地政学的に見れば、北緯三十九度線より南が敵対的になったら戦うしかないというのが、七世紀の白村江の戦い以来の日本の立場
○その危機感があってこそ征韓論が唱えられ、その後の韓国併合にもつながっていく」
[下]の表紙です。
○当時の中国は国際法違反の常習犯、まともな国家にはあらず
○日本に「軍部」は実在しなかった
○日本の政権中枢でもコミンテルンが暗躍
→こんな基本的のことさえ絶対にかけない山川日本史!その明快な理由がズバリわかります!!」
最後に、あわせて読んでいただきたい本です。
「日本人の誇り」藤原正彦著(平成23年 文春文庫)
この本([上][下])と同じ「ペリー来航(1853年)からサンフランシスコ講和条約(1952年)までの近現代史」を継続した「東亜百年戦争」という視点で書かれてある本です。
平成26年03月24日作成