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高校生のためのおもしろ歴史教室>読書案内

「国難の正体-日本が生き残るための『世界史』」馬渕睦夫著    

  詳しくは「国難の正体-日本が生き残るための『世界史』」馬渕睦夫著(平成24年 総和社)です。
 フリーメーソン、イルミナティなど陰謀論が盛んですが、本当かどうか正体がつかめないところで動いています。信じる他ない、と言うべきでしょうか。勿論荒唐無稽であると言うのが、多くの人々の信じる所です。そのなかで、この本は、世界を支配する勢力が実在するという主張をなるほどと思わせる希有の著作です。もと外交官が、自分の職業体験と、公にされた、ソ連のグロムイコ外相、アメリカのロックフェラー、マッカーサー、トルーマン大統領などの回顧録などを読み解く内に、当時のソ連とアメリカ、共産主義中国などが、つながっていることを発見しました。 この本によると、グローバリズムやニューワールドオーダーを目論む人々は、ロックフェラー家、ロスチャイルド家などの国際金融資本達です。彼らは、ソ連や共産主義中国を陰で支援しながら、アメリカも含め戦争を演出しながら国家の弱体化を図り、世界政府を樹立して支配層となり、世界中の多くの人々を奴隷化することを、国家を越えた自由競争をスローガンに目論んでいるということです。このことを著者は、外交官を退任して防衛大学校の教授につかれて、教授資料を集め、講義内容を思索する中で気がつきました。このグローバリズム、ニューワールドオーダー、ワンワールドなどの言葉に隠された世界共産化運動をわかりやすく具体的に示しています。
少し長いですが「はじめに」の一部を引用します。
 「今、世界にはグローバリズムという妖怪が徘徊しています。今から一六〇年以上も前にカール・マルクスが、共産主義という妖怪の徘徊を宣言して以来、世界の歴史はこの妖怪に翻弄されてきました。東西冷戦が自由主義陣営の勝利で終了し、やっと共産主義の脅威が消滅し世界は平和になったと信じられていましたが、今またグローバリズムという新たな妖怪に世界が翻弄されているのです。
 ところが、このグローバリズムと共産主義は根が一つなのです。グローバリズムは、物、金、人の国境を越えた自由な移動を実現することによって、世界を自由市場経済で統一しようとする運動です。共産主義とは、世界各国に私有財産を否定する共産主義独裁政権を樹立することによって、世界を共産主義で統一しようとするイデオロギーです。一見するところ、グローバリズムと共産主義は正反対のイデオロギーのように感じられます。
 グローバリズムの主役は、民間の国際銀行家やこれと結びついたグローバル企業であり、彼らは政府の規制を排して自由に経済活動を行うことを求めています。他方、共産主義は、労働者の前衛を自称する共産党が、国家の上にあって国家や人民を独裁的に支配する体制です。このように、双方とも国家や政府の規制の及ばない独占的権力を保持している点で、類似性があります。
 また、この二つのイデオロギーは国民国家を越えた世界全体を対象としていること、すなわち国際性を有していることに共通性があります。共産主義者もグロー針ストも国際主義者なのです。加えて、共産主義者もグローバリストも唯物思想の権化です。唯物思想で世界を解釈しているため、市場競争であれ、権力闘争であれ、勝ったものが正義であり、すべてに君臨するという結論に行き着きます。私有財産は大富豪は所有できますが、貧困大衆は自らの自由になる私有財産を事実上所有していないのと同じです。共産主義体制の下では、特権的政治エリートは国富の形式的な所有権を保持していなくても、無制限的な使用権を持っていますが、被支配階級は冨の使用権を持っていません。一握りの特権階級(富豪)と膨大な貧困大衆の二極に分裂した社会は、共産主義社会であれグローバル資本主義社会であれ、本質的に同じ支配構造にあるといえます。
 このように、共産主義もグローバリズムも、特権エリート階級と貧困大衆という超格差社会を生み出す点でおなじものなのです。この超格差社会化が今世界的規模で進行しています。世界がグローバル経済化するということの究極的意味は、特権的民間資本による世界政府が樹立されるという想像を絶する世界の出現です。
 現在、日本は国際銀行家たちが推進しているグローバルの攻撃の矢面にたっています。私たちが直面している国難の正体は、このグローバリズムです。今、日本は岐路にあるのです。日本がグローバル経済に飲み込まれるのを阻止し、世界のグローバル化を防ぐということが、日本の生き残る唯一の道であるというのが私の結論です。そして日本にはその力があります。
 本書では日本の生き残る方法を具体的に論じますが、読者の皆様にはきっと賛同していただけるものと信じています。なぜなら、皆さんが日本を救う主役だからです。それに気づいていただけるだけで、確実に日本は変わります。私は皆様の力を信じます。」(3頁〜6頁)
 グローバリズムに対抗するために、日本の伝統文化を大切にし、民族としてのIDを確立する必要があります。「己をしり彼をしれば百戦危うからず」は孫子の兵法です。橋本徹の日本維新の会やみんなの党を支持する前に、そのグローバリズムに協力している本質を見抜いていただきたいと思っています。
 また、たった1国で、白人の世界支配に対抗した東亜百年戦争(ペリー来航からサンフランシスコ講和条約まで)の歴史を振り返りることも必要ではないかと思います。

 グローバリズムを理解するためにつぎの本も推薦したいと思います。

「金融ワンワールド 地球経済の管理者たち」落合莞爾著(2012年 成甲書房)
 
 平成25年10月05日作成