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高校生のためのおもしろ歴史教室>読書案内

「天孫皇統になりすましたユダヤ十支族」落合 莞爾著    

 
 この本のテーマは、表題の通り、神武天皇以下の天皇は実在するということ。ユダヤ十支族征服説や騎馬民族征服説に対する反証ですが、不思議な歴史観を持つ落合 莞爾(かんじ)の歴史に関する一連の著作の代表として紹介したいと思います。「歴史はシュメールに始まる」という言葉がありますが、このシュメール文明の母体となったウバイド文明が人類最初の文明であるということから始まる史観です。ウバイド人は、高度な砂金採集技術を持ち、膨大な黄金を集積していたというのです。そして、ウバイド人は、この黄金を人類歴史の発展のため、各地域の調和的な発展のために、黄金ファンド(基金)として今も運用しているということです。ウバイド人が西進してフランスのブルターニュ地方(古代ローマ時代でいうアルモリカ半島)に定着し、ここを中心としてケルト民族として西欧の王家の源流となりました。東進して、日本に到着して縄文人になり、縄文人の王としての天皇家もこのウバイド人の末裔であるというのです。ウバイド人の末裔である西欧の王家と日本の天皇家は、いまも、地下水脈でつながっており秘密結社として世界王室連合を形成しておりいわば王道ワンワールドとでもいえる勢力であるということです。従来から言われている世界征服をもくろむ覇道ワンワールド勢力もあるということ。その代表が世界王室連合の金融部門の下請けを任されたユダヤ人による国際金融ワンワールドであるといいます。
 さて、日本の戦後の思想謀略であるWGIPについては、周知のところですが、古代史における日本弱体計画もあるということで、落合史観の諸著作の中で、この本は特に古代史のねつ造による日本弱体化計画について触れています。以下、引用します。
「大東亜戦争の戦勝者として日本に進駐したアメリカ軍はサンフランシスコ条約で講話した後も、秘密に間接占領体制を敷きながら今日に至りました。
 終戦直後に米ソ両陣営が核兵器対決に入ったため、米軍の核の傘に入らざるを得なかった日本は、この体制を忍び、あるいは適合しながら、偽装独立国家を演技してきたのです。
 ドイツ降伏を機に、アメリカと日本を天秤に掛けて態度をハッキリさせないソ連を抱き込むために日本への原爆投下を敢行したアメリカは、対ソ参戦の報酬として日本分割を求めるソ連を諦めさせる代償として、共産思想の日本浸透を認めます。つまり、日本を領土的に分断するのではなく、国民を階級的に分断しようとしたのです」(p197)
「共産思想の日本浸透工作を受け入れた政体自民党が、民主化の名のもとに日教組と官公労の勢力拡大を放置したため、行政と経済は資本主義でありながら、思想と教育・報道が共産主義という奇妙キテレツな日本国が誕生したのです。」(p198)
「しだいに経済力をつけていく日本を、いつまでも実質支配下に置きたいと願うアメリカの支配層が、日本を牽制するための道具として用いるのが大韓民国です。
 日本を精神的に抑圧するために、歴史に対する誇りを奪うことを企んだアメリカ支配層の建てた戦略は、捏造された韓国史により朝鮮半島が文明的に日本に優越すると宣伝することです。
 つまり、「平安時代初期までの日本は文明的後進地帯であったから、朝鮮半島の先進文化を進んで受け入れた」とするとんでもない偽史を、日本の史学界に丸呑みさせたのです。
 これと整合させるためには、朝鮮半島が文明的先進地帯でなくてはならず、実際は三世紀までは過疎地帯で、大陸からの亡命難民の小集落が散在する荒蕪の地であった朝鮮半島に、さも国家機能を備えた古代国家が存在したかのような虚構を作り、これを基礎とする「半島優越史観」を造りあげたのです。
 この「半島優越史観」がどんどん膨らみエスカレートしてきた経緯は省略しますが、一言だけ言えば、こと歴史問題に関しては日本の友邦などどこにも存在しませんぜ。
 ようするに日本の歴史は日本が自ら守らねばならないのですが、同胞とはいえ役所や新聞社まかせに出来ないのは、文部省・文化庁・教育委員会・大学・大手新聞社・放送局・大手出版社などの公共機関が、GHQを受け継いだ対日秘密本部の命令にしたがい、日本精神的劣化工作を担当してきたからです。」(p199〜p200)
 この文にであっただけでも目から鱗でした。歴史の常識にとらわれると、トンデモ本のたぐいに見えますし、論拠に無理のあるところも散見されますが、天皇家の歴史・日本と世界の歴史に関する珠玉の洞察が各所でみられます。いままでの疑問が溶けてゆきます。特に古代史に関して、日本に対する誇りを取り戻すことができることと思います。
 この本をはじめ天皇に関する「天皇とワンワールド」「天皇と黄金ファンド」などの「落合古代史」シリーズ、明治維新史を新たな視点で解明する「落合秘史」シリーズ、「落合・吉薗秘史」シリーズを読んでみてください。
 
平成30年2月11日作成