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高校生のためのおもしろ歴史教室>読書案内

「奇跡の日本史『花づな列島』の恵みを言祝ぐ」増田悦佐著    

 詳しくは、「奇跡の日本史『花づな列島』の恵みを言祝ぐ」増田悦佐著(PHP研究所 2010年)です。
「奇跡の日本史 『花づな列島』の恵みを言祝ぐ」
何という美しい題であろうか。日本史や世界史を長年教えてきて、教科書も参考書も日本に対する愛情があったのだろうかと、今振り返ると思える。
 
 
 日本の歴史教育は、マルクスの唯物史観がベースになっている。西欧史の歴史の発展段階を分析して、古代奴隷制社会、中世封建制社会、近代資本主義社会そして、民主主義社会等々、西欧の価値基準とスタンダードを基準として、日本がいかにいびつな発展を遂げてきたか。民主主義社会にはほど遠い、古代の遺制、中世封建社会の遺制がいかにのこっているか。
 縄文時代以来断絶のない歴史を歩んできた日本にとって、唯物史観の言う遺制が残っているのは当然であり、それがまた、日本の伝統文化ともなり、「和を以て貴しとなす」という独自の社会を作り上げてきた。
 マルクス史観言うところの天皇制は、古代の専制君主制の名残りであり、廃止すべきものである等々の先入観で日本の歴史を断罪し、日本は、西欧の先進国に比較すれば遅れた国である。

 西欧の基準である、民主主義社会築くために、日本の古い遺制を破壊しなければならない。
 民主政治が始まったのは、フランス革命以後あるいはアメリカ独立以後のことである。歴史的な評価の試練を経ていない。
 大衆におもねる民主政治の在り方を見ていると、かつて民主主義を理想とする衆愚政治の時代があった。一部の特権エリートによる世論操作を行い、民主政治を標榜し、巧みに独裁政治を行っていた愚かな時代があったと総括される時代が、民主主義の時代であるといわれるようになる、ということを否定できないとおもっている。

 現在と比較して日本において言えば、江戸時代の方が、豊かで生き生きとした生活をしていたことをうらずける西欧人の記録や、日本人の記録がある。唯物史観をもってすれば、領主が領民を搾取する暗黒の中世封建社会であったはずであるのにである。現在の西欧化された、民主主義の時代より、武士道精神をもつ、武家政権の方がよき政権であった、と言えるのではないか。

 以心伝心の心は、自己主張のためのコミュニケーション能力を身につける障害となるので、良き日本文化ではない。
 そうやって、日本的な文化を破壊してきたのが、ここ70年弱の戦後の歴史ではないか。 西欧と日本は文明が違う、価値基準が違って当然であることにもうそろそろ築くべきときではないかと思う。

 「特異な才能に恵まれているわけでもない大衆が、犯罪も犯さずに人間らしい生活を維持するための収入を確保しづづける。この当たり前であるべきことが当たり前に実現しているのは、世界中で日本と北欧数ヵ国だけだ。しかも、北欧諸国では、国民の収入の半分以上、六〜七割を国家が取り上げて再配分することでこの成果を達成している。国民の大部分が自由意思で働いて稼いだ収入で達成しているのは、日本だけだ。
 日本の歴史を見ていくと、諸外国であれば当然あったはずのものが日本にはなかったということが多い。しかも、なくてもマイナスになるどころか、なくても本当に良かったというものばかりだ。この本では、日本の「なくて良かった」ものばかり集めて、「あった」ヨーロッパの悲惨で暴力的な歴史と対比していく。
 ないない尽くし」のしばらしさを、ごゆっくり味わっていただきたい。」(5頁)

 著者とおなじエコノミストによる

  「日本の『復元力』」中谷巌著(ダイヤモンド社 2010年)

を合わせて読んでいただきたい。元気な日本を復活させる原点は日本理解にあると考える。今こそ日本文明の長所を見直すときである。 ようやく日本に愛情をもつ視点から描かれた中学校の歴史教科書が現れた。市販本で読んでいただきたい。
 
  「市販本 新しい歴史教科書」藤岡信勝他10名著(平成23年 自由社)
  「こんな教科書で学びたい 新しい日本の歴史」伊藤隆他14名著(平成23年 育鵬社)

 これらの本が、唯物史観を絶対とする日教組の人々により採択を妨害されている現実こそ日本の危機であると考える。もう、目を覚ますべき時ではないか。ぜひ読んで素晴らしい奇跡の日本史を学んでいただきたい。歴史を知ることは歴史を作ること、元気な日本を作ることであると信じている。郷土や日本に誇りを持てなくて、弱肉強食のグローバリズムの世界に、生きてゆくことはできない。

平成23年08月18日作成