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高校生のためのおもしろ歴史教室>読書案内

「日本人に謝りたい」モルデカイ・モーゼ著

   詳しくは、 「新装版 日本人に謝りたい」モルデカイ・モーゼ著久保田政男訳(1999年 日新報道)です。
 
  20年ほど前、友人に読むこと勧めらました。その時は手に取ることは、ありませんでした。調べたいことがあり、思い出して購入しよんでみておどろきました。
 日本国憲法論であったのです。眼から鱗でした。どうして、共産党が不磨の大典の如く憲法擁護するのかが、今まで分かりませんでした。
 この本は、その理由を教えてくれました。日本国憲法は、二段階革命理論による共産主義憲法(社会主義憲法)だったのです。終戦直後の情勢では、天皇を廃止することができず、
まずブルジョア革命としての日本国憲法を制定し、共産主義に移行するための時限爆弾を仕込んである憲法だったのです。
 また、違和感を感じていたマルクス主義[共産党の指導理論]についても、明快に誤謬が指摘してありました。 少し長いですが、本文を引用します。
「マルクスの夢は学者になることであった。そのようなマルクスのことである。単なる予言者では決して満足できなかっただろう。注文によって先ず『共産党宣言』の虚構ハイポセシス(=仮説)を構築したが、この単純な仮説でも満足できない。そこで『経済学批判』を書くのであるが、その第一の目的は現状の変革をより有機的に信じ込ませることである。
 現状、つまり資本主義たるものを共産主義に変革せよと使嗾(しそう=悪事を指図してそそのかすこと)するだけでは十分な説得力あるものとはいえないと考えたわけである。そのためには資本主義を固定したもの、静止したものと考えられてはまずい。これを流動的なもの、必然的に変わる流れの中で一時期であると説くことが有効である。そのために考えたのが「社会発展段階説」なるものである。原始共産社会→古代奴隷制社会→封建社会→資本主義社会→共産主義社会というものである。『資本論』で用いている言葉でいえば"変態"ということになる。
 これはユダヤ神話のパターンである。最初に調和を保った神代があり、これが異教徒により崩されたが最後にまた調和の保たれた自己だけの時代に至るというこのである。これをマルクス波、原始共産制社会と最後の共産主義社会の間に三つの階級闘争のある社会を挟んで「社会科学」として売り出したものである。これだと資本主義社会は階級闘争の渦中に一段階として映り、流動的に映る。したがって、変革は必然と説得しやすい。」(168頁〜169頁)                                  
 「東京裁判の論法はすでにたとえ戦争責任については逆転されたとしても、深甚なる影響をを日本の戦争史に与えられている。
 先ず第一に、日本の社会へ階級闘争を持ち込んだことである。これは、続く日本国憲法へ実態方のカテゴリーに属することによって、確固たるものとして定着させられてしまっている。この階級闘争もさることながら、より大きい病巣は宗教性の呪縛であろう。
 前述の東京裁判式の論法は、善玉・悪玉論理をはぐくむことになる。戦争責任はあげて一握りの支配階級たる天皇制軍国主義者にある、大部分の国民はむしろその被害者であるとする論法は、先ず第一に戦争責任者を国外に求めることを忘れさせる効果をもつ。また、これにより旧敵国がいかにも雅量のあるものわかりのいい寛大なる存在に映り、以後の占領政策をやりやすくする江かをもつ。ここにユダヤ教善玉・悪玉の二価論理が持ち込まれることとなる。
 こうして、悪玉、すなわち「天皇制軍国主義者」に「支配」された戦前の日本はすべて悪であるとする観念が生じる。逆に自分達を被害者=善玉と規定してくれたアメリカ占領軍の以後の政策をすべて善と感じるであろう。
 さらに、支配階級というものは常に悪であると教え込まされると、戦後の政権担当政党も支配階級の代弁者であるから当然悪玉である。故に、これにことごとく反対することは善玉の崇高なる使命であると信じ込まされることになる。今日みる如く政権担当政府のやることには何でも反対する思潮は、このようにして東京裁判を通じて巧妙に持ち込まれたのである。
 そうして、これらを確固不動のものにするため日本国憲法を作成し、その残地諜者として日本共産党を利用することになるのである。」(86頁〜88頁)
 「戦後の日本の混乱に最大の責任があるのはマルクス主義である。マルクス主義の害毒といった場合、普通は表面に現れたもの、例えば安保騒動の如きものとしな捉えず、日本共産党の民主連合政府綱領を視て、革命というマルクス主義の現実的脅威はなくなったと考えるかも知れない。
 だが、問題はそんな生易しいものではない。というのは、マルクス主義とは単なる「革命理論」ではないということである。
 マルクス主義の戦後のおける影響の最たるものは、この稿でとり上げる戦後の病理、虚妄性、日本歴史の真の構築を阻む跛行性をつくりだしたということにあるといわねばならない。
 これらを具体的にいうと、国家・民族意識、愛国心の去勢、道徳観の失墜、拝金主義の培養、家族制度の崩壊、その他、戦前の日本が世界に誇った冠絶した長所を失墜せしめたことにあろう。マルクス主義はこの病理の精神的支柱となっているのである。これは根拠のないことではない。何故ならば、日本共産党は戦前の日本の長所のすべて「絶対悪」として否定するものである。そして、日本共産党はマルクス主義を唯一絶対の世界観として信奉する政党である。」(139頁〜140頁)
 実におもしろい本です。この主張を裏付ける本として
 
「戦後日本を狂わせたOSS『日本計画』二段階革命理論と憲法」田中英道著(平成23年 展転社)
 
 もあわせて読んでいただきたい本です。世界観が変わります。迷信から醒めた想いです。

平成25年07月07日作成