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高校生のためのおもしろ歴史教室>読書案内

「最終目標は天皇の処刑」ペマ・ギャルポ著

詳しくは、「最終目標は天皇の処刑 中国『日本解放工作』の恐るべき全貌」ペマ・ギャルポ著(飛鳥新社 平成24年)です。
 
 そもそも、私は中国が大好きで、『論語』『孟子』などが愛読書で、中国5000年の歴史に親近感をもちつつけていました。
 また、京都の地で、マルクス主義経済学を専攻していました関係で、『天皇制イデオロギーと資本主義』というテーマが大好きでした。
  日本は日本としてのアイデンティティを持つべきだと思いながら、天皇の存在を歴史的な遺物、封建制の遺構であるという具合に思っていました。

 しかし、昨年、日本の伝統と歴史について、一般の方にシリーズで講演する機会があり、ようやくマルクス主義史観つまり、コミンテルン史観から目が覚めました。
 さらに、天皇の存在こそ、日本の象徴であり、日本国民統合の象徴であると確信するようになりました。しかも、共産主義中国の戦略にだまされていたことにようやく気づきました。
 さすが、「孫子」や「六韜」などの兵法書をそのまま、地でいっていることを実感しました。勝つための兵法の極意は簡単です。「内部崩壊」をさせることにあります。私の考えそのものが、中国共産党の「日本解放第二工作要綱」の結果、洗脳された大学教授やマスコミにより作られたものだったのです。
 以前から静岡県以北を日本自治区、愛知県以南を東海省とするという中国外務省から流出したとされる二〇五〇年の極東マップの出典が気になっていました。この本を読んで間違いなく本物であると確信することができました。
 
さて、この本の内容を紹介します。
「操られている日本人
 マスコミに限らず、日本人全体の中国に対するあまりにも無警戒、あるいは自虐的な姿勢は、時折理解に苦しむことがあります。あたまも何者かに洗脳され、操られているかのようでもあります。多くの人は「そんなことあるはずがない」と笑うかもしれませんが、催眠術だってかけられている当の本人は気がつかないものなのです。そして実は、それを示唆するような文書が、冒頭で記した「中国共産党・日本解放第二期工作要綱」です。この文書に書かれている内容と実際に日本で起こった事象と照らし合わせてみると、あまりにも符合する部分があって、おそらく誰もが驚くことと思います。」(108頁)とあります。

 「国民新聞が『日本解放第二期工作要綱』という資料をスクープとして掲載したのは一九七二年八月五日のことです。この要綱は、中国がいかにして日本を侵略していくかというロードマップで、中央学院大学の故・西内雅教授がアジア諸国を歴訪した際に、情報組織から入手したとされています。」(108頁)

 中国は、共産主義国家であるということを忘れていました。中国はアヘン戦争を経験し、毛沢東によって共産主義国家になりました。
 一国共産主義は、資本主義国家の圧力で成り立たないということであれば、当然世界に広げることを求めるはずです。
 さらに、中華思想による世界国家であった中国にあってみれば、近隣諸国を征服し、支配下に置きたいという戦略を立てることは当然のことです。

 この本の資料編にある「工作要綱」を見てみます。

「A 基本戦略・任務・手段
(1) 基本戦略
我が党(中国共産党)の日本解放の当面の基本戦略は、日本が現在保有している国力の全てを、我が党の支配下に置き、我が党の世界解放戦に奉仕せしめることにある。
(2)  解放工作組の任務
日本の平和解放は、下の三段階を経て達成する。
第1期目標 我が国との国交正常化
第2期目標 民主連合政府の形成
第3期目標 日本人民民主主義共和国の樹立―天皇を戦犯の首魁として処刑」(252頁)とあります。

そして、その為の主眼として、群衆掌握の心理戦として、「文を重んじ、平和を愛する民族の国」「かがやかしい伝統文化を持っている国」というイメージを膨らませる。その為にスポーツ団を派遣する。全国の大学へ中国講師を派遣する。
 また、マスコミ工作として、「マスコミを支配する集団の意志が世論を作り上げるのである。」と定義して、新聞の編集者と接触して親中国的にする。テレビ・ラジオに於いて、「娯楽」「性の解放」等を賛美する。郷土愛や民族の一体感を呼び覚ますものは、好ましくないとなくすように圧力をかける。前者を多く取り上げさせ後者を排除するように誘導する。
 反中国的な本は、出版させないようにする。本書の著者など正論を説く者は、反動的な著者であるとの印象を植え付けるように誘導する。

 また、
 「日本の内閣総理は、衆参両院の本が意義で首班指名選挙を行って選出される。両院で議員総数の過半を掌握すれば、人民の意志とは関係なく、任意の総理となし得るのである。」と定義して、国会議員を如何に日本解放(=天皇を処刑して西半分を直轄領東半分を日本自治区にする)するかの工作方法を詳述しています。

 国会議員の身辺を洗い出し弱みを握ること。中国に招待して洗脳すること。女性との情事を仕組むなどして、弱点を作ること。自民党を分裂させること。当時の社会党・公明党・社民党を操ること、利用すること。
 また、資金については、在日華僑をだまして提供させること。在日華僑は、日本解放の暁には階級の敵である。利用し尽くさなければならないと述べています。

  著者のペマ・ギャルポによると、独立国家チベットが、独立を奪われチベット自治区として、中国の支配下に置かれるようになった道筋のとおり日本も歩んでいるということです。
 同じ過ちを繰り返さないで欲しいという願いからこの本を書いたと述べています。
 もう手遅れでなはないかと背筋が寒くなりましたが、ぜひとも手に取って読んで欲しい思います。

 さて、繰り返しますが、私の陥っていたコミンテルン史観もこの対日工作の結果であることにようやく目が覚めたところです。目が覚めれば、どうして気がつかなかったのだろうということが多くあります。ぜひともこのような本の紹介に嫌悪感を感じる人ほどこの本を読んでもらいたいと思います。夢から覚めれば、日本が危ない。共産主義中国の植民地になる直前まで来ていることが理解できるのではないかと思います。中国人による土地の買い占めが行われていること。外国人の参政権など、着々と法律を通し、究極合法的に日本を属国にしようとしていること。大手のマスコミをすでに牛耳っていることが理解できると思います。

 そうなれば
 「中国・韓国が死んでも教えない近現代史」黄文雄著(2005年 徳間文庫)
などに、読書をすすめて欲しい思います。『前門の虎後門の狼』ということわざもあります。中国が虎だとすれば、狼もいます。マインドコントロールがとれてそのような事にも気がつきました。

平成2年12月08日作成